俺様御曹司と蜜恋契約
『辛い恋が終わったら誰かとまた幸せな恋でもしろよ』
陽太への長い初恋が終わったときそう言ってくれたのは葉山社長だ。
『ずっと誰かを愛してきたなら今度は俺に愛されてみれば?』
『俺のこと選んでくれたら他の男のことなんて思い出さないくらいに愛してやるよ』
その言葉たちが葉山社長の本当の気持ちなのかは分からない。常に周りに素敵な女性がいて、たくさんの女性を相手にしてきた葉山社長にとってその言葉たちは特に深い意味はなく息をするように簡単に告げることのできるものだったのかもしれない。
それでも私はその言葉たちが忘れられない。恋愛経験のない私は信じてしまう。期待してしまう。
取引じゃなくて私は葉山社長の本当の恋人になりたい……。
「ったく、お前さぁ」
葉山社長は自身の腕を掴んでいた私の腕をそっとはがす。そして振り向くと私を真正面から見つめた。
「何度も言ってんだろーが。俺はお前の涙には弱いって」
そう言われて気が付いた。私の瞳からは涙がこぼれていて、それが両頬にすーっと落ちていく。
葉山社長が私の涙に弱い理由。それは私を子供の頃に泣かせてしまったから。父親が作る自慢の親子丼を子供の頃の葉山社長にマズいと言われて私は泣いてしまった…。
「最後くらい涙なんて見せないで笑ってくれよ、花」
最後。
その言葉に胸が痛んだ。
――――最後なんかじゃない。
葉山社長の大きな手が私の頬に添えられると親指でそっと目元の涙を拭ってくれた。しかし私は首を横に振る。
「こんな状況で笑えません」
「何でだよ。幼馴染への恋も終わったし商店街ももう無事なんだ。お前が泣く理由なんてもうどこにもねぇだろ」
「あります」
気が付けばそう叫んでいた。それから涙がたっぷりとたまっている瞳で葉山社長を見上げる。
「あなたがいないから……」
「俺?」
葉山社長が目を見開き驚いたような顔で私を見つめた。それから困ったように微笑む。
陽太への長い初恋が終わったときそう言ってくれたのは葉山社長だ。
『ずっと誰かを愛してきたなら今度は俺に愛されてみれば?』
『俺のこと選んでくれたら他の男のことなんて思い出さないくらいに愛してやるよ』
その言葉たちが葉山社長の本当の気持ちなのかは分からない。常に周りに素敵な女性がいて、たくさんの女性を相手にしてきた葉山社長にとってその言葉たちは特に深い意味はなく息をするように簡単に告げることのできるものだったのかもしれない。
それでも私はその言葉たちが忘れられない。恋愛経験のない私は信じてしまう。期待してしまう。
取引じゃなくて私は葉山社長の本当の恋人になりたい……。
「ったく、お前さぁ」
葉山社長は自身の腕を掴んでいた私の腕をそっとはがす。そして振り向くと私を真正面から見つめた。
「何度も言ってんだろーが。俺はお前の涙には弱いって」
そう言われて気が付いた。私の瞳からは涙がこぼれていて、それが両頬にすーっと落ちていく。
葉山社長が私の涙に弱い理由。それは私を子供の頃に泣かせてしまったから。父親が作る自慢の親子丼を子供の頃の葉山社長にマズいと言われて私は泣いてしまった…。
「最後くらい涙なんて見せないで笑ってくれよ、花」
最後。
その言葉に胸が痛んだ。
――――最後なんかじゃない。
葉山社長の大きな手が私の頬に添えられると親指でそっと目元の涙を拭ってくれた。しかし私は首を横に振る。
「こんな状況で笑えません」
「何でだよ。幼馴染への恋も終わったし商店街ももう無事なんだ。お前が泣く理由なんてもうどこにもねぇだろ」
「あります」
気が付けばそう叫んでいた。それから涙がたっぷりとたまっている瞳で葉山社長を見上げる。
「あなたがいないから……」
「俺?」
葉山社長が目を見開き驚いたような顔で私を見つめた。それから困ったように微笑む。