俺様御曹司と蜜恋契約
私の頬に添えられていた葉山社長の手が離れていく。その手をスーツのズボンのポケットに入れると、葉山社長は空港の高い天井を見上げながら深く息を吐き出した。そしてゆっくりと視線を降ろす。
「あんな取引を持ち掛けて、少しだけお前と一緒にいたかっただけなんだけどな」
独り言のように告げてから私を見つめた。
「――花」
私の名前を呼ぶ声が震えている。見つめる人をまるで射抜くような鋭い二重の瞳が自信なさ気に揺れていた。
「俺の帰り待っていてくれる?」
「はい」
勢いよく頷いてから、でも、と私は言葉を続ける。
「あなたのことを待っています。だから戻ってきたら私をあなたの本当の恋人にしてください」
はっきりとそう告げれば、葉山社長が少し驚いたような表情を見せたのが分かった。そのまましばらく固まっていたけれどやがてふっと小さく笑った。
「それ今、俺が言おうと思ってたのに先に言うなよな」
そんな言葉とともに葉山社長の腕が伸びてきて私をきつく抱きしめた。ふわっと香る葉山社長の香水は今では私を安心させる香りだ。
「花。俺はお前の涙には弱い。泣かせたくない。もしもお前を泣かすようなやつが現れたり、お前を泣かすようなことが何かあったら、俺が全力で守ってやるよ。だから……」
葉山社長が私を抱きしめる腕にぎゅっと力を込めた。少し痛いくらいに強い力だった。でもその力とは反対に声がとても震えていて。
「こんな俺だけど好きでいて」
「好きですよ、葉山社長」
彼の腕の中で私は自然と笑顔がこぼれた。
好きな人に自分の気持ちを正直に告げることがこんなにも嬉しい気持ちになれるのだと初めて知った。そして好きな人と気持ちが通じ合えることがこんなにも幸せな気持ちになれるということも。
「あんな取引を持ち掛けて、少しだけお前と一緒にいたかっただけなんだけどな」
独り言のように告げてから私を見つめた。
「――花」
私の名前を呼ぶ声が震えている。見つめる人をまるで射抜くような鋭い二重の瞳が自信なさ気に揺れていた。
「俺の帰り待っていてくれる?」
「はい」
勢いよく頷いてから、でも、と私は言葉を続ける。
「あなたのことを待っています。だから戻ってきたら私をあなたの本当の恋人にしてください」
はっきりとそう告げれば、葉山社長が少し驚いたような表情を見せたのが分かった。そのまましばらく固まっていたけれどやがてふっと小さく笑った。
「それ今、俺が言おうと思ってたのに先に言うなよな」
そんな言葉とともに葉山社長の腕が伸びてきて私をきつく抱きしめた。ふわっと香る葉山社長の香水は今では私を安心させる香りだ。
「花。俺はお前の涙には弱い。泣かせたくない。もしもお前を泣かすようなやつが現れたり、お前を泣かすようなことが何かあったら、俺が全力で守ってやるよ。だから……」
葉山社長が私を抱きしめる腕にぎゅっと力を込めた。少し痛いくらいに強い力だった。でもその力とは反対に声がとても震えていて。
「こんな俺だけど好きでいて」
「好きですよ、葉山社長」
彼の腕の中で私は自然と笑顔がこぼれた。
好きな人に自分の気持ちを正直に告げることがこんなにも嬉しい気持ちになれるのだと初めて知った。そして好きな人と気持ちが通じ合えることがこんなにも幸せな気持ちになれるということも。