俺様御曹司と蜜恋契約
葉山グループの社長を務めていた親父が突然の心筋梗塞で亡くなったのは昨年の春のことだった。その後を継いで社長へ就任したのが息子である俺、葉山光臣だ。

当時の俺が29歳とまだ若いこともあり、当初は後を継ぐのにふさわしいのは副社長であり親父の弟(俺にとったら叔父にあたる)葉山光秀を推薦するものもいたし、何より叔父自身が社長就任を熱望していた。

しかし会長である祖父や株主たちが社長に指名したのは俺だった。だから就任したわけだがもちろん叔父は納得がいっていないようだった。

社長として俺が会社の方針や事業計画などを決めると、叔父はその全てに対抗するかのように反対の意見ばかりを出してきた。

今回の件もそうだ。

国内店舗よりもこれからは海外店舗を増やしていきたい、という俺の意見とは逆に叔父が提案したのが『森堂商店街』という土地を再開発して葉山グループの新しい大型ショッピングセンターを建設すること。

社長の俺が反対しているなか、副社長の叔父の指示で商店街の再開発計画は勝手に進められているようだ。さっき目を通した報告書によるとすでに商店街の住人たちへの説明が今日行われているらしい。


あのくそおやじ。
勝手なことしやがって。




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