俺様御曹司と蜜恋契約
穂高部長は電話の保留ボタンを押してから受話器を戻すと、ポケットからハンカチを取り出して額の汗をぬぐった。
「どうしました部長?」
「いったいどういう関係なの?」
「え…?」
どういう関係って?
質問の意図が分からずに首を傾げると、穂高部長が辺りをきょろきょろと見回しながら小声で言った。
「親会社の葉山社長と」
「え?」
「今、電話が来ていて。湯本花に繋いでほしいって言われたんだけど、湯本くんと葉山社長がどういう繋がりがあるの?」
「繋がり……」
そう言われて思い出すのは1週間前のあの出来事。
『俺の女になれ』
ふとあの言葉が蘇った。
ま、まさか……。
「と、とにかく早く電話に出て。3番で繋がってるから」
「あっ、はい」
穂高部長に急かされて自分の席に戻る。受話器を取ると3番のボタンを押した。
「――はい。湯本ですが」
「遅ぇよ出るの」
低くてよく通る声。
「この俺を待たせるな」
この声には聞き覚えがあった。
「お待たせしてしまって申し訳ありません。……えっと、私に何か用事ですか?」
少し離れたところから心配そうな表情で穂高部長が私のことをちらちらと見ている。何を話しているのか気になるのだろう。
私は穂高部長に背中を向け、他の事務員さんたちにも聞こえないよう受話器に手を添えて小声で話した。すると電話の向こうから葉山社長の大きな声が聞こえてくる。
「どうしました部長?」
「いったいどういう関係なの?」
「え…?」
どういう関係って?
質問の意図が分からずに首を傾げると、穂高部長が辺りをきょろきょろと見回しながら小声で言った。
「親会社の葉山社長と」
「え?」
「今、電話が来ていて。湯本花に繋いでほしいって言われたんだけど、湯本くんと葉山社長がどういう繋がりがあるの?」
「繋がり……」
そう言われて思い出すのは1週間前のあの出来事。
『俺の女になれ』
ふとあの言葉が蘇った。
ま、まさか……。
「と、とにかく早く電話に出て。3番で繋がってるから」
「あっ、はい」
穂高部長に急かされて自分の席に戻る。受話器を取ると3番のボタンを押した。
「――はい。湯本ですが」
「遅ぇよ出るの」
低くてよく通る声。
「この俺を待たせるな」
この声には聞き覚えがあった。
「お待たせしてしまって申し訳ありません。……えっと、私に何か用事ですか?」
少し離れたところから心配そうな表情で穂高部長が私のことをちらちらと見ている。何を話しているのか気になるのだろう。
私は穂高部長に背中を向け、他の事務員さんたちにも聞こえないよう受話器に手を添えて小声で話した。すると電話の向こうから葉山社長の大きな声が聞こえてくる。