俺様御曹司と蜜恋契約
「--佐上。次の全体会議はいつだ」
「はい。次回は……」
佐上はスーツの内ポケットから分厚い手帳を取り出すと、最近また皺が増えてきた指でさらさらとページをめくっていく。
俺はイスを回転させデスクの後ろにある窓へと視線を向けた。そこから見えるのは密集した高層ビル。
ここからではあの小さな商店街を見ることはできないが、その方角を見つめて目を閉じればガキの頃の記憶が今でも鮮明に蘇る。
あの日、泣かせてしまったヤツのことを。
(個人的な意見)
そう言われてしまえばそうかもしれない。
(社長失格だ)
分かってる。
それでも俺はあの商店街をどうしても壊せない。
うちの会社の再開発で森堂商店街がなくなってしまえばきっとあいつは泣くだろう。
それは開発先企業の社長である俺が泣かせたも同然。
俺のせいであいつをもう泣かせたくはない。
だから、たとえ副社長である叔父や自分の会社を敵に回すようなことになっても森堂商店街だけは絶対に守ってやりたい。
*
「はい。次回は……」
佐上はスーツの内ポケットから分厚い手帳を取り出すと、最近また皺が増えてきた指でさらさらとページをめくっていく。
俺はイスを回転させデスクの後ろにある窓へと視線を向けた。そこから見えるのは密集した高層ビル。
ここからではあの小さな商店街を見ることはできないが、その方角を見つめて目を閉じればガキの頃の記憶が今でも鮮明に蘇る。
あの日、泣かせてしまったヤツのことを。
(個人的な意見)
そう言われてしまえばそうかもしれない。
(社長失格だ)
分かってる。
それでも俺はあの商店街をどうしても壊せない。
うちの会社の再開発で森堂商店街がなくなってしまえばきっとあいつは泣くだろう。
それは開発先企業の社長である俺が泣かせたも同然。
俺のせいであいつをもう泣かせたくはない。
だから、たとえ副社長である叔父や自分の会社を敵に回すようなことになっても森堂商店街だけは絶対に守ってやりたい。
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