俺様御曹司と蜜恋契約
いくら会社のトップである社長とはいえ計画していた再開発をそんなに簡単に白紙にしてしまって大丈夫なのだろうか。社員からの反感とかをかったりはしていないのかな…。
「俺はお前との約束をきちんと守っただろ」
ふと声を掛けられて「へ?」と間抜けな声が飛び出す。そんな私の返事に葉山社長がちらっと私を見てから再び視線を前に戻した。
「取引しただろ」
その言葉にビクッと体が跳ねる。
「…えっと。取引、ですか?」
しっかり覚えているけどつい聞き返してしまえば、葉山社長が不機嫌そうな声を出す。
「はぁ?お前、忘れたのか?」
「え…。いや、あの…」
低い声がとてもこわい。
ピリリと空気が張りつめる。
ラジオから流れるしっとりとした洋楽とはまったく不釣合いな車内の様子。
葉山社長が深く息を吐いた。
「商店街の再開発をやめる代わりに俺の女になる。そう取引しただろ」
「……」
その取引のことならもちろん覚えている。
でも冗談だと思っていた。
それなのにまさか本当に成立していたなんて……。
「なに黙ってんだよ」
何も答えずにいた私を葉山社長が横目でちらっと睨む。
「俺はその取引通り商店街から手を引いたんだ。お前もしっかりと俺との取引を守れ」
……そうだよね。
あの日、私はあの取引に頷いてしまった。
だから商店街の再開発が白紙になったんだ。
「俺はお前との約束をきちんと守っただろ」
ふと声を掛けられて「へ?」と間抜けな声が飛び出す。そんな私の返事に葉山社長がちらっと私を見てから再び視線を前に戻した。
「取引しただろ」
その言葉にビクッと体が跳ねる。
「…えっと。取引、ですか?」
しっかり覚えているけどつい聞き返してしまえば、葉山社長が不機嫌そうな声を出す。
「はぁ?お前、忘れたのか?」
「え…。いや、あの…」
低い声がとてもこわい。
ピリリと空気が張りつめる。
ラジオから流れるしっとりとした洋楽とはまったく不釣合いな車内の様子。
葉山社長が深く息を吐いた。
「商店街の再開発をやめる代わりに俺の女になる。そう取引しただろ」
「……」
その取引のことならもちろん覚えている。
でも冗談だと思っていた。
それなのにまさか本当に成立していたなんて……。
「なに黙ってんだよ」
何も答えずにいた私を葉山社長が横目でちらっと睨む。
「俺はその取引通り商店街から手を引いたんだ。お前もしっかりと俺との取引を守れ」
……そうだよね。
あの日、私はあの取引に頷いてしまった。
だから商店街の再開発が白紙になったんだ。