俺様御曹司と蜜恋契約
フォークに麺をくるくると巻き着けた葉山社長がそれを口へ運ぶ。

「おお。美味いじゃん」

「本当ですか?」

「うん。まぁまぁ美味い」

まぁまぁって……。
ま、いっか。

「お前も食えば?」

私の分も一緒に作っていいと言われたのでカルボナーラは二人分作ってある。私もフォークに麺を巻き着けて口へ運んだ。

……うん。
たしかにまぁまぁな味かもしれない。

言い訳になるけど、私は洋食よりも和食の方が得意なのだ。父親に教えてもらった料理のほとんどが和食だから小さい頃から作り慣れている。

まぁまぁな出来のカルボナーラだけど目の前の葉山社長はぱくぱくと食べ進めてくれている。お腹が空いていると何でも美味しいって思えるっていうからね…。

「そういえば葉山社長のお母様って料理研究家の葉山今日子さんですよね?」

さっき思い出したことを本人にたずねてみた。

「ああ」

葉山社長はフォークに麺を巻き着けながら答える。

「お母様から料理を教わったりしたんですか?葉山社長も普段から料理をよくするみたいだし」

この家の立派なアイランドキッチンには様々な料理道具や調味料が揃っていた。冷蔵庫にも食材がストックされていたし。独身男性の一人暮らしの部屋には入ったことはないけれど、これほどキッチンが充実しているのも珍しいと思う。

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