俺様御曹司と蜜恋契約
「どうしました、部長」
もしかして私のことを探し回っていたのかな?なんだかひどく焦った感じに見える穂高部長に声を掛けて私は立ち上がる。
「湯本くん、ちょっと来て」
「え?」
手招きをしている部長のもとへ行くと、耳元でボソッと声を掛けられた。
「また電話きてる」
「電話?」
「親会社の葉山社長から」
「!」
しまった。
制服のポケットにしまってあるスマホのことを思い出す。私が電話に出ないから昨日みたいに会社の方へかけてきたみたいだ。
でもやっぱり葉山社長の電話には出たくなくて…。
「部長。悪いんですけど、私は忙しくて手が離せないってことにしてくれませんか?」
顔の前で両手を合わせてお願いすると、穂高部長は困惑したような表情を見せる。
「ええ?どうして?というかそもそも昨日から葉山社長は湯本くんに何の用事なの?」
「それは……」
言えません。
「とにかくお願いします。私は忙しいと伝えてください。お願いします」
「うーん…」
穂高部長はしばらく迷いながらも、最近抜け毛で悩んでいるという髪の毛をわしゃわしゃとかきむしってから「分かった」としぶしぶ頷いてくれた。
「でも一つ確認だけど、変なことはしてないよね?」
「変なことですか?」
「葉山社長に目を付けられるようなこと」
「……していません」
本当はすごく目を付けられるようなことをしてしまっているけれど。でもやっぱりあの取引のことは穂高部長にも話せないし。
穂高部長が深く息を吐き出した。
「それなら湯本くんは仕事の用事で外に出ていることにしておくから」
「ありがとうございます」
たぶん葉山社長からの電話を待たせているのだろう。休憩室を出た穂高部長が大慌てで廊下を走って行く。その後姿を見つめながら私は本日何度目かになるため息をこぼした。
もしかして私のことを探し回っていたのかな?なんだかひどく焦った感じに見える穂高部長に声を掛けて私は立ち上がる。
「湯本くん、ちょっと来て」
「え?」
手招きをしている部長のもとへ行くと、耳元でボソッと声を掛けられた。
「また電話きてる」
「電話?」
「親会社の葉山社長から」
「!」
しまった。
制服のポケットにしまってあるスマホのことを思い出す。私が電話に出ないから昨日みたいに会社の方へかけてきたみたいだ。
でもやっぱり葉山社長の電話には出たくなくて…。
「部長。悪いんですけど、私は忙しくて手が離せないってことにしてくれませんか?」
顔の前で両手を合わせてお願いすると、穂高部長は困惑したような表情を見せる。
「ええ?どうして?というかそもそも昨日から葉山社長は湯本くんに何の用事なの?」
「それは……」
言えません。
「とにかくお願いします。私は忙しいと伝えてください。お願いします」
「うーん…」
穂高部長はしばらく迷いながらも、最近抜け毛で悩んでいるという髪の毛をわしゃわしゃとかきむしってから「分かった」としぶしぶ頷いてくれた。
「でも一つ確認だけど、変なことはしてないよね?」
「変なことですか?」
「葉山社長に目を付けられるようなこと」
「……していません」
本当はすごく目を付けられるようなことをしてしまっているけれど。でもやっぱりあの取引のことは穂高部長にも話せないし。
穂高部長が深く息を吐き出した。
「それなら湯本くんは仕事の用事で外に出ていることにしておくから」
「ありがとうございます」
たぶん葉山社長からの電話を待たせているのだろう。休憩室を出た穂高部長が大慌てで廊下を走って行く。その後姿を見つめながら私は本日何度目かになるため息をこぼした。