俺様御曹司と蜜恋契約
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人生初の合コンは駅から少し離れた場所にある居酒屋で行われた。
完全個室のこのお店は地下1階にあり店内の照明は抑えられ落ち着いた雰囲気のお店だ。
掘りごたつ式の細長いテーブルに男性6人、女性6人が向かい合って座っている。私の席は持田さんの隣の1番隅っこ。
ちなみに女性メンバーは持田さん以外の4人とは初対面で、どうやら彼女たちは葉山グループの本社ビルに勤めているらしい。その中の1人の女性が持田さんと大学時代からの友達なのだとか。年齢は24歳の私が1番下であとの4人は26歳。
男性メンバーはなんと弁護士で30代前半から後半。きっちりとしたスーツに眼鏡、調った黒髪という見た目から知的な雰囲気が溢れていた。
「とりあえず乾杯」
みんながビールを飲む中、私だけがウーロンハイを飲んでいる。お酒が弱いのだ。
軽く自己紹介をしてからあとは適当に会話が始まる。初めのうちは私のことを気にかけてくれていた持田さんもターゲットの男性を見つけたのかいつの間にかその人の隣へ移動してしまった。他の人たちも楽しそうに話をしている。
私はというと食事に手を付けながら、これしょっぱい、これもっと煮込んだ方が味付くのに、天ぷらべちゃべちゃだなぁ、これは美味しいかも、と一人で料理の感想を心の中で語っていた。
それでもたまに話し掛けられれば適当に相槌を打ちながら会話をした。
1時間ぐらい経つとこっそりと席を立ち、店の奥にあるお手洗いへと向かう。そこには先客がいたようで女性の話声が聞こえてきた。
「いい人いたぁ?」
「うーん、微妙かな」
同じ合コンに参加していた女性たちの中の2人が鏡に向かってメイクを直しているところだった。持田さんの大学時代のお友達さんとは少し話はしたけれど、彼女たちとは一言も話していない。なんとなく中に入りづらくてお手洗いの入口で立ち止まっていると、彼女たちの会話が聞こえてくる。
「顔も性格もトークも悪くはないんだけどなんかいまいちパッとしないんだよねぇ」
「そりゃ玲子は前の男が良過ぎたせいだよ。葉山社長と比べたらどんな男性だって霞んじゃうって」
突然飛び出した『葉山社長』という言葉に思わず耳がダンボになってしまう。盗み聞きなんてよくないんだけど、彼女たちの会話にそっと耳をすました。