俺様御曹司と蜜恋契約
親会社の社長の顔はみんな知っていると思う。それに葉山グループの葉山社長はとても有名人だし。だからたぶんあそこにいる女性社員たちも葉山社長だと分かってああして集まっているんだと思う。
関わりたくない。
葉山社長はきっと私のことを待っているはず。あんな状態で声を掛けられたくない。そんなことされたら私と葉山社長との関わりをあの場にいる女性社員たちに根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。そんな面倒な展開だけはさけたい。葉山社長との関係は誰にも知られたくない。
関わらないでおこう。
幸い葉山社長は女性社員たちと話すことに夢中になっていて私がこうして物陰から覗いていることに気が付いていないみたいだ。
今のうちにこっそり帰ろう。と、彼らに背を向けて反対方向へと歩き始める。駅までは遠回りになってしまうけど見つかるよりはずっとましだ。そう思いながら足を数歩進めたときだった。
「待ってよ、花」
女性の声がして振り向くとそこには持田さんがいた。さっきまで他の女性社員たちと一緒に葉山社長を取り囲んでいたはずなのにいつの間に…。
「仕事終わってたんだ。呼びにいこうと思ってたんだけどちょうどいいわ」
そう言って微笑むと、持田さんがずいっと顔を私に近付けてくる。
「それで、どういうことなの?」
「どうって…?」
「会社の外に出たら親会社の葉山社長がいてみんな驚いたよ」
それは、私も驚いたんだけど…。
持田さんが瞬きをするたびに長い睫がバサバサと揺れている。濃い目の化粧にお洒落なワンピース、きれいに巻かれた髪。もしかしたら今日もこのあとお決まりの合コンへ行くのかもしれない。なんて持田さんのことを観察していると、赤いグロスでぷっくりと膨れた彼女の唇が開く。
「花、この前彼氏いないって言ってたのにウソだったのね」
まさかあのイケメンが…とぼそっと呟く。
何のことを言われているのか分からない私は首をかしげた。
「えっと…彼氏ならいませんけど」
「ウソ!付き合ってるんでしょ」
「誰がですか?」
「花が」
「私?…誰とですか?」
「だから葉山社長と」
「……へっ?」
どうして持田さんが知ってるの?
というか葉山社長とは付き合っているというかそういう取引をしているだけで実際は付き合ってはいない。
関わりたくない。
葉山社長はきっと私のことを待っているはず。あんな状態で声を掛けられたくない。そんなことされたら私と葉山社長との関わりをあの場にいる女性社員たちに根掘り葉掘り聞かれるに決まっている。そんな面倒な展開だけはさけたい。葉山社長との関係は誰にも知られたくない。
関わらないでおこう。
幸い葉山社長は女性社員たちと話すことに夢中になっていて私がこうして物陰から覗いていることに気が付いていないみたいだ。
今のうちにこっそり帰ろう。と、彼らに背を向けて反対方向へと歩き始める。駅までは遠回りになってしまうけど見つかるよりはずっとましだ。そう思いながら足を数歩進めたときだった。
「待ってよ、花」
女性の声がして振り向くとそこには持田さんがいた。さっきまで他の女性社員たちと一緒に葉山社長を取り囲んでいたはずなのにいつの間に…。
「仕事終わってたんだ。呼びにいこうと思ってたんだけどちょうどいいわ」
そう言って微笑むと、持田さんがずいっと顔を私に近付けてくる。
「それで、どういうことなの?」
「どうって…?」
「会社の外に出たら親会社の葉山社長がいてみんな驚いたよ」
それは、私も驚いたんだけど…。
持田さんが瞬きをするたびに長い睫がバサバサと揺れている。濃い目の化粧にお洒落なワンピース、きれいに巻かれた髪。もしかしたら今日もこのあとお決まりの合コンへ行くのかもしれない。なんて持田さんのことを観察していると、赤いグロスでぷっくりと膨れた彼女の唇が開く。
「花、この前彼氏いないって言ってたのにウソだったのね」
まさかあのイケメンが…とぼそっと呟く。
何のことを言われているのか分からない私は首をかしげた。
「えっと…彼氏ならいませんけど」
「ウソ!付き合ってるんでしょ」
「誰がですか?」
「花が」
「私?…誰とですか?」
「だから葉山社長と」
「……へっ?」
どうして持田さんが知ってるの?
というか葉山社長とは付き合っているというかそういう取引をしているだけで実際は付き合ってはいない。