俺様御曹司と蜜恋契約
私の涙はすっかり止まってしまって、代わりになぜか心臓がドキドキとうるさい。

なんだかとても安心するのはどうしてだろう……。

そっと目を閉じれば葉山社長が愛用しているコロンの香りがした。彼の近くにいるといつも香ってきていたその甘い香りは抱きしめられていることで今はとても強く香る。

もしかして慰めてくれているのかな…?

そういえばさっき葉山社長が言っていた。

『お前の涙には弱い』ってどういう意味だろう。

私の涙に弱い?
葉山社長の前で泣いたことなんてあったかな。

あるとすれば初めて会ったあの日。森堂商店街の再開発をやめてもらいことを葉山社長に話したときだ。たしかにあのときは話しながらつい涙を見せてしまったけれど。でもたった1度だけ。私が葉山社長の前で泣いたのはそれだけなのに、どうして私の涙には弱いなんてそんなことを言うのだろう…。

< 89 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop