俺様御曹司と蜜恋契約



お昼休憩が終わると会議室にこもり午後の会議が行われる会場のセッティングをしていた。

テーブルとイスを決められた配置に並べていく。途中で熱くなり制服のブラウスの上に羽織っていたカーディガンを脱いだ。

テーブルのセットが終わると次は必要な書類を人数分コピーをして並べる。それからペットボトルのお茶と紙コップも人数分置いた。

「ふぅ。完成っと」

開けっ放しの窓からふんわりとした風が入ってくる。

2階にある会議室から外を覗けば、真下に見える駐車場に何台かの車がちょうど入ってくるところだった。停車した車からスーツ姿の男性が数名降りてくる。

今日は葉山グループのグループ会社である『葉山食品』と子会社であるうちの会社との間に行われる月に1度の定例会議の日だった。会議は毎月順番にそれぞれの会社で行われていて、今月はうちの会社がその順番だ。

「花!」

バタンと会議室のドアが開き持田さんが現れる。

「大変、大変」

きれいにセットされた髪を振り乱してかけよってきた。

「来てるのよ」

来てる?
誰が?

そう思って、ああ、と理解する。

「葉山食品の方たちですか?それなら車から降りてくるのがここから見えたので知ってますよ。会場セッティングは終わっているのでこちらに通してもらっても大丈夫で――」

「違うの!そうじゃなくてっ」

持田さんが大きな声で私の言葉を遮る。

「そっちじゃなくて、葉山社長」

「葉山社長?」

「そう。葉山社長が来てるの」

「どうして葉山社長がうちの会社に来てるんですか?」

今日は葉山食品との定例会議のはず。担当者が数名集まるだけの小さな会議にどうしてグループ全体を取り仕切る葉山社長が来るんだろう?
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