怨み赤子
いつもより美しい姿のあたしに何人かの生徒が頬を赤らめるのがわかった。


「みんな、こんな所で何を話ししてるの?」


あたしはニコッとほほ笑みながら話かけた。


「今度、俺たちでイベントをやろうって話になってるんだ」


隣のクラスの生徒がすぐにそう返事をした。


「イベント? すごいね! どんなイベントをするの?」


そう聞くと、男子生徒たちはチラチラと目配せをした。


イベント内容が口に出しにくいものだから、教室内での話し合いができないことはあたしだってわかっていた。


しかし何も気が付いていないフリをして、首を傾げる。


「実は、自作アニメを上映したり、コスプレをしたりしたいなって思ってるんだ」


1人がそう言い、数人が頷いた。


真治と教が関わっているんだからそんなものだろうと思っていた。


だけどあたしは目を丸くして驚いた素振りをする。


「自作アニメ!? みんなでアニメを作ったの? それってすごいね!!」


「そ、そうだよ」


あたしの反応にみんなは笑顔を浮かべる。


嫌な顔をされなかったことで安心したようだ。


「そんなすごい事をするのに、どうしてこんな所で話し合いをしてるの?」


あたしはそう質問する。


「それは……アニメとか漫画には批判的な意見も多いから」


1人が少し表情を暗くしてそう言った。


そんな事も、あたしはちゃんとわかっている。


「そうなんだ? すごい事なのに、ひどいね」


あたしはそう言い、しかめっ面を浮かべた。


本当はアニメも漫画も興味がないし、そんなイベントに行きたいとも思わない。
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