怨み赤子
それに……。


あたしは真治の方を見た。


相変わらず悪びれた様子もなく、あたしへ向けて笑顔を向けている。


自分のやった事を謝罪する気すら感じられない。


この真治がいる限り、イベントはきっと失敗するだろう。


それはとても可愛そうな事だった。


「そうそう、あたしは真治に用事があって来たんだった」


思い出したように声をあげてそう言うあたし。


真治は自分の指さして「俺？」と聞いて来た。


あたしは大きく頷く。


「うん。ちょっといいかな？　2人で話がしたいから」


そう言って上目づかいに真治を見る。


周囲から冷やかすような声が聞こえてきて、真治は動揺を見せた。


普段から女子生徒との関わり合いが少ないから、こういう事においては真治も真っ白なのだ。


「じゃ、じゃァちょっと言ってくる」


真治は仲間たちにそう言うと、ぎこちなくあたしについて歩き出したのだった。
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