怨み赤子
その時だった。


ふいに勉がユキに漫画の話を持ちかけた。


ユキの目が一瞬にして輝き始める。


一方あたしたちは簡単に話しに置き去りにされ、目の前に運ばれた料理に箸を伸ばす。


「これ美味しいね」


「本当だ」


そんなカナミとそんな会話をしながら食事をして、誘って来たユキはこちらを見向きもしない。


一体何のために誘われたんだろう。


早く食べて帰ろう。


そう思った時だった、カナミのスマホが鳴った。


「親からだ」


そう言い、電話を取るカナミ。


会話の内容からすると出かける用事ができたから早く帰らないといけないようで、あたしはそれに便乗して一緒に帰ろうと考えていた。


「ごめん、あたしももう帰らなきゃ」


そう言い席をたつカナミ。


「じゃぁあたしも……」


そう言ってカナミと一緒に席を立つと、途端にユキが抗議の声を上げ始めた。


「なんで？　月乃はもう少しいいじゃん」
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