怨み赤子
「え、でも……」


「ご飯だって残してるし。ちゃんと食べなきゃもったいないよ」


ユキの言葉にあたしとカナミは目を見合わせた。


食べ物を残すのはもったいない。


これはユキの口癖だった。


なんでもひいおばあちゃんたちが農家をやっていたらしくて、小さな頃から食べ物を大切にと教えられてきたかららしい。


その考え方は間違えてはいないけれど、ユキのせいでお腹がパンパンになるまで食べ続けた子もいる。


ユキ本人も苦しいと言いながら食べ続け、その結果最近随分とふっくらとした体型になってきている。


食べ物を残すのは確かにもったいないことだ。


でも、それにも限度というものがある。


注文した料理が思った以上の量で運ばれてきたら、残す事も考えるべきだ。


それなのに、ユキにはその考えがないのだ。


自分の意見は正しい。


自分はしっかり者だから。


ユキの強い思い込みが、そうさせていた。
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