怨み赤子
ツバサ君を落としいれるために弘江と大也まで巻き込んだ事はさすがに驚いたけれど、あの2人がいなくなってもクラス内に変化はなかった。


むしろ、威圧的な人間が減った事で連帯感が増していた。


あたしは教会にいながら、自分はいいことをしているような気分になっていた。


あたしの赤子が活躍すればするほど、みんなの笑顔も増えていく。


人を怨むことが悪い事だという認識が薄れて行った。


そして、今回もそうだった。


その怨みが自分の身に帰って来るなんて、考えてもいなかった。


あたしは勇気を出して教会から一歩外へ踏み出した。


外の景色を見るのは数週間ぶりで、思わず目を細めた。


だけどぼんやりしている暇もなく、自転車に乗って学校へと急いだのだった。
< 137 / 143 >

この作品をシェア

pagetop