怨み赤子
☆☆☆

久しぶりの学校に到着すると、あたしは自分の下駄箱を確認した。


そこにはすでに運動靴が入れられていて顔をしかめる。


赤子が先に到着してしまったようだ。


あたしは来客用のスリッパをはき、足早に教室へと向かう。


嫌な予感が胸を渦巻く。


教室の前まできて、ふと足を止める。


下駄箱からここまで歩いて来たのに、クラスメートに1人も会わなかったのだ。


偶然?


それとも……。


教室の前のドアを勢いよく開ける。


同時に生臭い臭いが鼻を刺激してあたしは後ずさりをしていた。


机や椅子は投げ倒されて、クラスメートたちが逃げ惑った痕跡があちこちにある。


入口に近い場所には田辺さんがいて、その背中からは真っ赤な血が流れ出していた。


その隣には委員長の安田さん。


最後の力を振り絞ってドアへと手を伸ばしているが、それも届かないまま目は固く閉ざされている。
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