怨み赤子
それだけじゃない。


ユキも、勉も、教も、真治も、カナミも……みんな体から血を流して倒れていたのだ。


「なんで……」


あたしは震える声で言った。


教室の真ん中に立っていた赤子がほほ笑む。


その顔は返り血で真っ赤に染まっているのに、美しすぎて背筋が寒くなった。


「だって、人を怨めば怨むほどあたしは綺麗になるんだもん」


赤子はそう言い、ほほ笑んだ。


あたしと同じ顔をしているのに全く違うその子は、ナイフの先についた血を舌でなめとった。


「誰がクラスメート全員殺せなんて言ったの!!」


あたしは叫び声を上げながら赤子へと近づく。


「お母さん」


赤子はそう言い、あたしを指さした。


「あたしはそんな事言ってない!!」


「言わなくてもわかるよ」


赤子はそう言い、笑った。


「カナミの事、本当は少し疎ましく感じてたでしょ。だからその怨みを晴らしてあげた。


委員長も正義ぶってて嫌いだったでしょ。だから怨みを晴らしてあげた。


あぁ、それからそこに倒れている木村君も、身長が低くて見た目が嫌いだったでしょ。だから怨みを晴らしてあげた」


赤子が次々と倒れているクラスメートたちを指さして言う。
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