怨み赤子
赤ちゃんはあたしの腹部を必死で引き裂き、そして自力で顔を上げた。


真っ赤に濡れた赤ちゃんはあたしの横に立つと、見る見るうちに大きく成長していく。


それと同時にあたしの腹部の穴も自然と修復されていき、完全に治るまでにあたしの体力は元通り回復していたのだった。


あたしは立ちあがり、自分と同じ背丈にまでなった赤子を見つめる。


赤子の容姿はあたしそのものだった。


同じ身長、同じ体格、同じ顔。


その赤子を見てあたしはフフッとほほ笑んだ。


「まずは体を綺麗にしなくちゃね」


あたしはそう言い、赤子の手を握り教会内にあるシャワー室へと向かったのだった。
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