怨み赤子
☆☆☆

2人でカラオケボックスについて、ぼんやりとユキの歌を聞く。


カラオケなら勉と2人でくればよかったのに、どうしてあたしを誘ったのかここまで来てようやく理解できた。


ユキは歌うのが得意なのだ。


あたしは表面上だけの拍手を送り「すごいね」と、ユキを褒めた。


ユキはニコリとほほ笑み、本当に嬉しそうな表情を浮かべた。


だけど、ユキが歌が上手だなんて今までしらなかった。


自分の特技をなにもかも中途半端にしてきているから、何もかも中途半端なところで止まっているのだ。


カナミのように小説好きを極めて、知識を深めればいいのにユキはそれをしない。


漫画やゲームの事をわかったように語るけれど、自分自身は何も変化していないのだ。


あたしはおつまみを注文して時間を潰した。


本当はこんな事をしている暇があれば帰って課題を終わらせたい。


そう思うけれど、ユキはまだまだ歌う気みたいだ。


そして2時間後。


ようやくユキの1人舞台が終了し、カラオケから出られる事になった。
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