怨み赤子
カナミの成功
翌日。


あたしはいつも通り学校へと登校して来ていた。


朝の早い時間で教室には数人の生徒しかいない。


今日の財布の中身は500円一枚だけだ。


昨日のようにユキにたかられても言い逃れできるように、最低限のお金だけを入れて来た。


自分の席に座って教科書をしまっていると、バタバタと慌てたような足音が近づいてきてあたしは教室の入り口に視線をやった。


走って来る勢いでドアを開けたのは、カナミだった。


「カナミ、どうしたの？」


あたしは目を丸くしてカナミを見る。


いつもはちゃんと整えられている髪型は、今日はボサボサだ。


ホームルームまでの時間はまだまだあるのに、どうして整えてこなかったんだろう。


そう思っていると、カナミがすぐにあたしの元へ走ってきた。


「月乃、聞いて！」


「な、なに？」


こんなに慌てた様子のカナミは今まで見たことがなくて、あたしの方が少し混乱してしまう。


するとカナミは鞄の中から一冊の薄い雑誌を取り出した。


若い子向けの文芸雑誌だ。


「これ！」


カナミはそう言うと、雑誌の後ろの方を広げて指さした。
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