怨み赤子
「カナミがね、小説のコンテストで佳作をとったの」


あたしはユキへ向けてそう言った。


ユキがバカにしていいような相手じゃない。


その事を強調するように雑誌を差し出す。


「へぇ、すごいじゃん」


ユキは雑誌を見てそう呟いた。


一瞬、カナミと目を見交わせてほほ笑んだ。


ユキも事のすごさを理解しているようだ。


「小説ってさ、あたしが書いても見てもらえる?」


は……?


あたしはユキの言葉に唖然とした。


カナミもなんと返事をしていいのかわからないようで、困ったようにあたしを見て来た。


「カ、カナミは口には出さなかったけれど、ずっと小説を書いてきてたんだよ」


あたしがそう言うと、ユキは「ふぅん?」と、首を傾げた。


ろくに小説を呼んだことのないユキが自分も読んでもらえるか、なんて、カナミの努力をバカにしているとしか思えない。
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