怨み赤子
オヤツに手を伸ばしかけた時、スマホが鳴った。


あたしは手を止めてスマホを確認する。


ユキからのメールが一件届いていて、《こんな感じ?》という文章の下に小説のプロローグが書かれている。


一見すれば小説だが、セリフの前にキャラクター名が記入されていたりして、全く小説になっていないし、興味を惹かれる部分も1つもない。


小説は最初の掴みが大切だと言う事すら、理解していない書き方だ。


そしてこれは明らかにカナミをバカにした行為だった。


あたしはメールを消去し、そしてスマホをベッドへと投げた。


「どうしたの?」


そう聞いてくるカナミに「迷惑メールだよ」と、答えたのだった。
< 32 / 143 >

この作品をシェア

pagetop