怨み赤子
そんな時だった。


あたしの知り合いの人が1000円ほどで100枚ものチラシを作ってくれるという話が来たのだ。


その人はあたしの入賞を心から喜んでくれている人で、お金をせびるような人間でもない。


あたしはすぐにユキに作業を止めるように求めた。


しかし……。


「途中で辞めるとかユキの気持ちはどうなるんだ」


ファミレスであたしとユキと勉の3人でいる中、勉がそう言い出した。


ユキの気持ち?


あたしは唖然として勉を見た。


ユキはきっと勉に詳しい話は一切していないのだろう。


自分から何万円もの金額を請求し、そしてプロを気取ってデザインを作っているということを。


あたしは呆れてしまい、勉の言葉を無視した。


「じゃぁ、金額を下げよう」


あたしはユキにたった1000円でデザインも印刷もしてくれる人がいると言う事を説明した。


するとユキはこう言ったのだ。


「できれば最後までやりたいんだけど。ちゃんとお仕事として受けたんだし」


この言葉にはあたしは心から驚いた。


ユキにとってチラシ作りはただのお遊びだと思っていたのだ。
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