怨み赤子
☆☆☆

放課後になり、あたしは勉を校舎裏へ呼び出した。


自分をカッコよく見せたいと思っている勉は女の子に弱い。


あたしからの呼び出しに告白だと見事に勘違いした勉は、鼻の下を伸ばしてやって来た。


念を押すように『ユキにばれないようにしてね』と伝えておいたので、本人はすっかりその気になっている。


勉が単純すぎるのか、恋愛経験が薄いのが仇になっているのか、勉は丁寧に髪型まで整えてやって来た。


もちろん、あたしは勉に告白なんてしない。


ユキが勉の事をどう思っているか、そしてユキがあたしやカナミに何をしてきたのか、すべて暴露するために呼び出したのだ。


「用事って?」


勉はそう言いながら前髪をかき上げた。


「聞いてほしい事があるの」


あたしはそう言い、背中に手を回して持っていたものを勉の前に突き出した。


「なんだ、これ?」


勉は首をかしげてあたしの手の中にあるものを見ている。


小型のボイスレコーダーだ。


勉の会話も、ユキの会話も、すべてこれに録音している。


「聞いてくれる?」


あたしはそう言うと、再生ボタンを押した……。
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