怨み赤子
パッと聞いただけでもツバサ君は必要とされていないと言う事がわかる。


ツバサ君の代理なんていくらでもいるような雰囲気だ。


しかし本人はすっかりその気になっていて、弘江を守っている気になっている。


「まぁ、ツバサ君が幸せならそれでいいんじゃないの?」


今の所それほど問題はないようだし、ツバサ君が間に入ることで弘江と大也はうまく付き合っていているのだから。


ただ、問題があるとすれば……。


しばらくして教室へ戻ると、ツバサ君の机の周りには人だかりができていた。


「昨日さぁ! 弘江に呼ばれてさぁ!!」


大きな声でさっきの話をしているツバサ君の声が聞こえて来る。


問題があるとすれば、これだった。


ツバサ君はことあるごとに正義のヒーローを気取り、女子たちの前でいい顔をしたがる。


これが大事に発展しなければいいけれど……。


あたしとカナミは目を見交わせて苦笑いをしたのだった。
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