怨み赤子
大きな噂
あたしはツバサ君が来てから5分ほどで屋上から逃げ出していた。


ドアを閉めた瞬間鍵をかけてやろうかという思いがよぎったが、さすがにそれはやめておいた。


お弁当箱を鞄にしまい、隣のクラスへと顔を出す。


「あ、月乃!」


カナミはまだ友達と一緒にお弁当を広げていて、あたしが顔を出すと手招きをしてくれた。


「月乃ここに座りなよ」


カナミの友達が椅子を用意してくれて、そこに座った。


あまり話をしたことのない子たちだからご飯を断ったけれど、こっちで一緒に食べればよかったかもしれない。


今更になって後悔する気持ちが湧いてくる。


まぁ、たった5分一緒にいただけだし、ツバサ君が一方的に隣に座ってきただけだし、いくら勘違いが激しいツバサ君でも、変なことにはならないだろう。


そう思い、あたしは残り時間を楽しく過ごしたのだった。
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