怨み赤子
☆☆☆

いまどきスマホを持っていない高校生なんていない。


学校の裏サイトなんて定番中の定番で、ほとんどの生徒がその存在を知っていた。


「おはよう」


そう言いながら教室へ入ると、数人の女子たちが「ねぇねぇサイト見た?」と、さっそく話を切り出してきた。


あたしは何も知らないふりをして会話をし、彼女たちに動画を見せてもらう。


そして大げさに驚き「ツバサ君っていつもいいカッコばかりだもんねぇ」と、笑う。


「気絶しても救急車呼んでもらえないとかかわいそぉ」


そう言いながらも笑い声を上げるクラスメートたち。


普段からツバサ君の態度が気に入らない子たちは、ツバサ君の事を本気で可愛そうだとは感じないのだ。


この動画を見て『やっぱりかツバサ君はこの程度なんだ』と感じている子がほとんどだ。


もちろん大也や弘江に対する批判も多かった。


でも、それもツバサ君を懲らしめるための一つの手段だった。


その時、教室のドアが開きツバサ君が入ってくると、動画の話題で盛り上がっていたクラスメートたちが一瞬にして静かになった。

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