怨み赤子
「俺はそういうの信用せずに、ちゃんとみんな1人1人を見ているから」


「そう。でも今回は嘘は書かれていないかもしれないよ?」


あたしは苦笑いを浮かべてツバサ君を見た。


「なんだよ。みんなサイトを信用しちゃったから態度が変なのか?」


そう言いながらツバサ君はスマホを取り出して。


手元で操作をして、次の瞬間表情が凍りつくのを見た。


「それ、作り物じゃないでしょ」


あたしは追い討いをかけるように大きな声でそう聞いた。


「ち、違う……これは俺じゃない!!」


慌ててそう言うツバサ君。


顔は真っ赤になり慌てすぎてスマホを落としてしまった。


その反応だけで事実だとみんなに言っているようなものだった。


「殴られてるだけじゃん。ダサ」


誰かが小さな声でそう言った。


その声は静かな教室内に響き渡り、そして爆笑を生んだ。


「ツバサってさ、いつもカッコつけて嘘ばっかり言ってるよね」


女子のリーダー格の女子、野村さんが前に出てそう言った。


「カ……かっこつけてなんか……!」


身長も体格もいい野村さんにツバサ君はたじろく。


そういえばツバサ君がつきまとう女の子たちはみんな小柄だ。


自分よりも明らかに弱い見た目の女子にしか近づかないようだ。
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