怨み赤子
「もとはと言えばお前があんな奴に頼るからだろうが!」


大也がそう言い、また弘江を殴りつけた。


ツバサ君がようやく立ち上がって大也を止めようとするが、非力なツバサ君では手も足も出ない。


今までずっと守ってきたものが、いとも簡単に壊されていく。


「ちょっとツバサ! さっさと止めてよ! あんた、あたしの代わりに殴られるくらいしたできないくせに!!」


殴られながらも弘江は叫ぶ。


弘江の言葉にツバサ君の頬に涙が流れた。


ツバサ君は本当に弘江の事を大切に思っていたのかもしれない。


それがただ都合よく利用されていただけなのだと気が付き、ツバサ君はその場で棒立ちになってしまった。


「黙れこのクソ女! いつもいつも加瀬みたいなくだらねぇ男に頼りやがって!!」


大也の怒りは完全に弘江へと向けられている。


大也は一旦立ち上がると弘江の腹部を踏みつけた。


場所が悪かったのが、バキッ!と何かが折れる音が聞こえて来る。


その瞬間、弘江は声にならない声をあげた。
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