怨み赤子
あたしはカナミやクラスメートたちを楽しい会話をしながら、2人を視界の端に入れていた。


2人はいつも仲がいいけれど、女子たちからの人気は最低ランクだった。


クラス内で最も人気がない2人と言っても過言ではない。


見た目はそれほど悪くないのだが、とにかく人の話を聞かない教と、自分を守るために平気で嘘をつく真治という事で有名だった。


2人に関わるとろくなことが起きないと思われていて、話しかけるクラスメートもほとんどいなかった。


その時だった、教室の中小さな悲鳴が響きみんなの視線がそちらへ向いた。


教室の入り口でこけている野村さんと、その前に立ってオロオロしているユキの姿が見える。


教室のドアを開けた瞬間ぶつかってしまったようだ。


ストレスを理由に食べ続けているユキの体格は今やクラスで一番になり、背の高い野村さんの方がこけてしまったのだ。


ユキは手にジュースを持っていたようで、野村さんの制服は濡れていた。


「サイテー」


野村さんがユキを睨み付ける。


「あ……ごめん……」


体格に似合わずか細い声でそう言うユキ。


その声が余計に気に障ったのか、野村さんは立ち上がるとユキを見下ろした。


「あんたいつまで食べたり飲んだりしてんの？　自分がどれだけデブか自覚してる？」
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