letter〜この出会いは運命〜
演説
「うわっ、全校生徒集まってるよ……。」
ステージの横からちらっと客席を見ると客席全体を埋め尽くす全校生徒がいた。
「和歌、顔がすごい顔になってるわよ。」
落ち着きを取り戻した夜美ちゃんに痛いツッコミを食らわされる。
まぁ、きっと今の私の顔は恥ずかしさと焦りと緊張とか色々混じった顔なんだろう。
ステージ横には立候補者と推薦者が沢山いる。
これは、すごい勝負になりそうだなぁ……
その中にはもちろん奏もいる。
すると突然ざわっと出演者達がわいた。
〔マジかよ。よく来られたよな。〕
〔有り得ないわ……。〕
〔昨日あんな事があったのに……〕
そんな言葉や罵倒を浴びせられているのは新地君、横には菅原さんと鏡夜。
あ、まだ1日しか経ってないんだ……。
私には長い時間に思えた。
罵倒を浴びる新地君は苦しそうに顔を歪め、菅原さんは私を笑いながら見ている。
夜美ちゃんは鏡夜に言葉をかけた。
「寝返ったの?深澤。」
ふんっと鼻を鳴らしながら夜美ちゃんは問う。
でも今日の朝鏡夜は私たちに1回言ってるから冗談だろう。
「さぁ?」
クスッと笑って
それ以上鏡夜は何も言わなかった。