letter〜この出会いは運命〜
「菅原は外に出せ。」
奏の冷たい声で奏の側近、が舞台袖からホールの外に引っ張り出した。
「俺は挨拶だけしてくるから、ここでこいつらと待ってろ。」
始まる予定時刻を5分過ぎて、奏が挨拶にステージに出る。
彼が出た瞬間客席から生徒達の歓声が聞こえた。
きっと゛こいつら゛は夜美ちゃんや、鏡夜の事だろう。
ふと周りを見ると周りからは私へと冷たい視線が向けられていた。
夜美ちゃんや鏡夜も呆然と私の方を見て立ち尽くしている。
〔あの子、前新地君と付き合ってなかった?〕
〔振られたのよ。って別れてから彼氏作るの早すぎない?〕
〔学校のイケメンツートップを手玉に取るとはいいご身分だな!〕
そんな事してないっ!
私へと向けられる嫉妬、怒り、嘲笑、憎しみ、蔑み。
菅原さんの時とは比べられない程の痛み。
〔龍貴院様とも仲が良いんでしょ?〕
〔うわっ、無いわーʬʬʬ〕
〔美人は男変えるの早ぇー!顔だけだな!〕
痛みなんて言ってはいけないのか。
そう、今の私はきっと悪女。
〔身分違いを知らないのね〕
〔生意気ね……〕
沢山の言葉の先鋭が私に沁沁と突き刺さる。
苦しいな……っ。
そんな事を考えていると頭の中で菅原さんの言葉がリピートされる。
"貴方は知ってるの?今日こんなふうに碧泉が罵られてる事も、今の事だって全部貴方のせいだって事をっ!"
"人に守られる事を当たり前としているようなあんたみたいなお姫様はっ!"
あぁ。私はどこで間違えてしまったのだろう。
夜美ちゃんや鏡夜が私を呼ぶ声が聞こえる。