letter〜この出会いは運命〜




右から夜美ちゃんが私を抱きしめる。
顔を見なくて分かるのは夜美ちゃんが付けてるコロンのせい。




夜美ちゃんが流す涙は私の制服を濡らす。



その涙は、、、なあに?


哀れみ?
同情?
謝罪?


夜美ちゃんがなぜ泣くのかをかんがえる。



私もまだ泣いてないのにな。



左後ろから抱くのは鏡夜。



そう分かるのは鏡夜の制服から香水の匂い…、どうしても取れない色々な匂いがするから。



その考えがさらに私から涙を流させようとする。


今は泣けない。



目の眩みそうなステージからの明かりをぼんやりと見ながら背中から刺さる目線。



分かっているけど気づかないフリをした。



眩む私の世界には大きな影が光からやって来る。




「やめろ。和歌にそんな事を言うな。」




あぁ。また私は人に守られるのか。
影に前から包まれながらそう思う。




どうせなら前は鏡夜が良かった。
なんて馬鹿げた事を考えている私に自嘲を贈った。



「こいつは深澤の事を心から愛してる。今日それを思い知った。だからどうかこの件に干渉しないでくれ。」




影から聞こえる優しい、力強い声に私は涙が出た。



鏡夜を私が愛してるとみんなに向かって言うことにどれだけ抵抗があっただろうか。

この考えは自負かも知れない、自惚れかも知れない。




でも例え私がその立場なら、私はそんな事を言わないはずだ。




相手を本当に愛していなければ。





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