専務と心中!
でも、タイミングもすごく悪かったみたい。
気が付いたら、刑事が私の左手薬指をガン見していた。
やばい!?
「……その指輪は?専務からのプレゼントですか?ずいぶんと高価そうですね。それに、真新しい。」
蛇のようにねちっこい目つきと口調。
……何となく、既視感を覚えた。
あれは……。
そうだ。
前編纂室長の、南部さんと同じ目だ。
南部さん。
もしかして、あの頃すでに、横領のことを疑ってたんだろうか。
頭のなかに、いろんな可能性と、場面がぐるぐると回ってる。
ひとつとして、確実なものが見えない。
思考が、まとまらない。
何から言えばいいのだろう。
どう説明すれば、私と、専務の潔白を証明できるのだろう。
……てか、椎木尾さん?
本当に、横領して、自殺したの?
わざわざ、琵琶湖で?
まだ、現実とはとても思えない。
だから、涙なんか出てこない。
……はずなんだけど……震えが止まらない。
昨日の椎木尾さんを思い出す。
そして、別れた朝の椎木尾さん。
……なぜか、ラブラブだった時のことは思い出せない。
苦しそうな、不機嫌そうな、椎木尾さんしか、記憶にない。
どうして?
椎木尾さんに、何があったの?
おもしろいもので、16時半には警察のヒト達は引き上げていった。
警察でも、終業時間は厳守なのだろう。
役員フロアは騒然としているようだ。
専務は、慌てて駆け付けて来た社長以外重役達、弁護士、会計士を交えて緊急会議に入ったらしい。
私の携帯には、メールや着信履歴がいくつも残されていた。
専務からは、
<にほちゃんも、俺も、後ろ暗いことは何もない。心配しなくていいから。夜、連絡する。>
というメッセージが残されていた。
それを読むと、今まで出てこなかった涙がこみ上げてきた。
父や母からも、着信があったようだ。
それから、友人たち。
……信じたくないが、既にニュースになっているらしい。
たぶん私の名前は出ていないのだろうけど、2年以上つきあっていた椎木尾さんの横領と自殺……そりゃ、私にも関連してないか、気になるだろうし、心配もしてくれるよね。
薫からも珍しく着信とメールがあった。
<にお、大丈夫か?報道陣、来てるだろ?迎えに行こうか?>
……優しさが、気遣いが、沁みる。
気が付いたら、刑事が私の左手薬指をガン見していた。
やばい!?
「……その指輪は?専務からのプレゼントですか?ずいぶんと高価そうですね。それに、真新しい。」
蛇のようにねちっこい目つきと口調。
……何となく、既視感を覚えた。
あれは……。
そうだ。
前編纂室長の、南部さんと同じ目だ。
南部さん。
もしかして、あの頃すでに、横領のことを疑ってたんだろうか。
頭のなかに、いろんな可能性と、場面がぐるぐると回ってる。
ひとつとして、確実なものが見えない。
思考が、まとまらない。
何から言えばいいのだろう。
どう説明すれば、私と、専務の潔白を証明できるのだろう。
……てか、椎木尾さん?
本当に、横領して、自殺したの?
わざわざ、琵琶湖で?
まだ、現実とはとても思えない。
だから、涙なんか出てこない。
……はずなんだけど……震えが止まらない。
昨日の椎木尾さんを思い出す。
そして、別れた朝の椎木尾さん。
……なぜか、ラブラブだった時のことは思い出せない。
苦しそうな、不機嫌そうな、椎木尾さんしか、記憶にない。
どうして?
椎木尾さんに、何があったの?
おもしろいもので、16時半には警察のヒト達は引き上げていった。
警察でも、終業時間は厳守なのだろう。
役員フロアは騒然としているようだ。
専務は、慌てて駆け付けて来た社長以外重役達、弁護士、会計士を交えて緊急会議に入ったらしい。
私の携帯には、メールや着信履歴がいくつも残されていた。
専務からは、
<にほちゃんも、俺も、後ろ暗いことは何もない。心配しなくていいから。夜、連絡する。>
というメッセージが残されていた。
それを読むと、今まで出てこなかった涙がこみ上げてきた。
父や母からも、着信があったようだ。
それから、友人たち。
……信じたくないが、既にニュースになっているらしい。
たぶん私の名前は出ていないのだろうけど、2年以上つきあっていた椎木尾さんの横領と自殺……そりゃ、私にも関連してないか、気になるだろうし、心配もしてくれるよね。
薫からも珍しく着信とメールがあった。
<にお、大丈夫か?報道陣、来てるだろ?迎えに行こうか?>
……優しさが、気遣いが、沁みる。