専務と心中!
何となく、和気藹々。
何となく、このまま、穏やかな家族になれそうな気がした。
……あくまで、何となく、だけど。
翌日、専務は、お世話になってるという大学の名誉教授を仲人にたてて、私の実家へと結納のお品やお金を運んだ。
早っ!!
てか、結納なのに、私には事後承諾って!
おかしくない?
「だって、マスコミの集団は解散してくれたけど、週刊誌の記者っぽいのがまだウロウロしてるからな。にほちゃんはあと数日はここにいたほうがいいだろ。入籍は、聡の入学式の日にしよう。暦もいい。なあ、お花さん。」
専務は、また私に怒られることを回避するため、お花さんと結託して進めている。
「そうですねえ。にほさん、ってお呼びしづらいから、早く若奥さんとお呼びしたいですしねえ。」
お花さんはよほどマダムに煮え湯を飲まされてきたらしく、私には無条件で好意的らしい。
「若さん、でも、改めてお式はいたしましょう。にほさんは、洋装がいいですか?和装もお似合いやと思いますけど。」
「……専務は再婚。しかも失業中やし、何もしなくていいですよ?」
そう言ったら、お花さんに怒られた。
「あほな!前の時かて、勝手にアメリカで結婚してしまわはったんですよ!今度こそ!私に、若さんの花婿姿、見せてください。」
……専務……酷い。
「だから、ごめんって。お花さんの言う通りだったよ。面倒でもちゃんと正規の手順を踏まないとな。……というわけだ。にほちゃん。頼むよ。父は神社で挙式を希望してる。俺はにほちゃんのウェディングドレスが見たい。」
……つまり、式は和装、披露宴は洋装でってこと?
「そういや、ばーさんの色打ち掛け……」
「残念ながら、マダムがお持ちになりました。」
専務に、忌々しそうにつっこむお花さん。
「そうか。……まあ、誂えるとするか。いいのを作れば、聡の嫁を迎える時にも使えるだろ。」
「僕をダシにしないでください。」
憮然と聡くんがぼやいた。
週末は、いわゆる「濡れ落ち葉」状態で、専務は私にべったりと張り付いていた。
「はいはい。ご自分の論文に集中してくださいー。私も、勉強してんだから。」
もはや座右の書となった、児玉幸多のくずし字用例辞典を振り回して専務を威嚇する。
社史編纂室でも似たようなやり取りをしてきたけど、まさかこれが日常生活になるなんてねえ。
人生わかんないもんだわ。
何となく、このまま、穏やかな家族になれそうな気がした。
……あくまで、何となく、だけど。
翌日、専務は、お世話になってるという大学の名誉教授を仲人にたてて、私の実家へと結納のお品やお金を運んだ。
早っ!!
てか、結納なのに、私には事後承諾って!
おかしくない?
「だって、マスコミの集団は解散してくれたけど、週刊誌の記者っぽいのがまだウロウロしてるからな。にほちゃんはあと数日はここにいたほうがいいだろ。入籍は、聡の入学式の日にしよう。暦もいい。なあ、お花さん。」
専務は、また私に怒られることを回避するため、お花さんと結託して進めている。
「そうですねえ。にほさん、ってお呼びしづらいから、早く若奥さんとお呼びしたいですしねえ。」
お花さんはよほどマダムに煮え湯を飲まされてきたらしく、私には無条件で好意的らしい。
「若さん、でも、改めてお式はいたしましょう。にほさんは、洋装がいいですか?和装もお似合いやと思いますけど。」
「……専務は再婚。しかも失業中やし、何もしなくていいですよ?」
そう言ったら、お花さんに怒られた。
「あほな!前の時かて、勝手にアメリカで結婚してしまわはったんですよ!今度こそ!私に、若さんの花婿姿、見せてください。」
……専務……酷い。
「だから、ごめんって。お花さんの言う通りだったよ。面倒でもちゃんと正規の手順を踏まないとな。……というわけだ。にほちゃん。頼むよ。父は神社で挙式を希望してる。俺はにほちゃんのウェディングドレスが見たい。」
……つまり、式は和装、披露宴は洋装でってこと?
「そういや、ばーさんの色打ち掛け……」
「残念ながら、マダムがお持ちになりました。」
専務に、忌々しそうにつっこむお花さん。
「そうか。……まあ、誂えるとするか。いいのを作れば、聡の嫁を迎える時にも使えるだろ。」
「僕をダシにしないでください。」
憮然と聡くんがぼやいた。
週末は、いわゆる「濡れ落ち葉」状態で、専務は私にべったりと張り付いていた。
「はいはい。ご自分の論文に集中してくださいー。私も、勉強してんだから。」
もはや座右の書となった、児玉幸多のくずし字用例辞典を振り回して専務を威嚇する。
社史編纂室でも似たようなやり取りをしてきたけど、まさかこれが日常生活になるなんてねえ。
人生わかんないもんだわ。