専務と心中!
碧生くんが、うれしそうにネタばらしをしてくれた。
何でも、碧生くんの大学の友人が半年ほど、峠さんの手料理を食べていたらしい。
たまたま、出張調理を頼んだ割烹で峠さんがバイトしてたご縁なんだそうだ。
「……そうですか。あのお嬢さん、碧生くんのお友達なんだ。世間は狭いね。……ご家族、お元気そうですか?」
峠さんは懐かしそうにそう尋ねた。
「はい。旦那のわがままに振り回されて、幸せそうです。この週末、彼女が京都に里帰りしてたんで逢ってきたんだけど、峠さんの就職先で俺がバイトしてることがわかって、びっくりしてました。」
よくわかんないけど、そのお友達から碧生くんは、峠さんが板前を目指していたと聞いたらしい。
板前から、学芸員に転身?
峠さん、わかんないわ。
しばし献立と食材の検討と計算をして、峠さんは宣言した。
「では、一食400円。お箸、スプーン、お茶碗、丼、お皿は全て持ち寄り。お米や野菜、フルーツも持ち込み歓迎。……当分、これでやってみましょう。」
安い!
「それで大丈夫なんですか?アシ、出ません?」
驚いたけど、峠さんは自信があるらしい。
「調味料が揃うまでは赤字かもですが、まあ、大丈夫でしょう。」
てか、峠さんは鼻歌でも歌い出しそうなほど、楽しそうだった。
お料理、そんなにお好きなんだ。
専務、もとい、統(すばる)さん家(ち)に戻ると、すぐにお花さんに事のあらましを伝えた。
お花さんは、使ってない食器や食材……開封すらしてない到来品をいっぱい出してくれた。
「お。なんだなんだ。バサーでもあるのか?」
ラフな格好の統さんが、奥から飄々と出てきた。
「ううん。峠先生が、まかない作ってくれることになったから、何か協力できるかな、って。」
「まかない?いつから?……てか、美術館てキッチンあったか?」
「給湯室があるだけ。明日からだけど、まさか、食べに来ようとしてないわよね?」
思わず釘を刺した。
統さんは不満そうに肩をすくめ、それから隣室で読書していた聡くんに声をかけた。
「聡。峠先生がメシ作ってくれるらしいぞ。明日、行ってみたらどうだ?」
ちょっ!
「もう!聡くんをダシにして、統さんも来る気でしょ!」
そう怒ったら、申し訳なさそうに聡くんがこっちにやってきた。
「……でも、明日、行くことになってるんやけど。迷惑かな。」
「え?そうなの?やー、聡くんは大丈夫でしょ。統さんはダメ。部外者の自覚持ってね。」
何でも、碧生くんの大学の友人が半年ほど、峠さんの手料理を食べていたらしい。
たまたま、出張調理を頼んだ割烹で峠さんがバイトしてたご縁なんだそうだ。
「……そうですか。あのお嬢さん、碧生くんのお友達なんだ。世間は狭いね。……ご家族、お元気そうですか?」
峠さんは懐かしそうにそう尋ねた。
「はい。旦那のわがままに振り回されて、幸せそうです。この週末、彼女が京都に里帰りしてたんで逢ってきたんだけど、峠さんの就職先で俺がバイトしてることがわかって、びっくりしてました。」
よくわかんないけど、そのお友達から碧生くんは、峠さんが板前を目指していたと聞いたらしい。
板前から、学芸員に転身?
峠さん、わかんないわ。
しばし献立と食材の検討と計算をして、峠さんは宣言した。
「では、一食400円。お箸、スプーン、お茶碗、丼、お皿は全て持ち寄り。お米や野菜、フルーツも持ち込み歓迎。……当分、これでやってみましょう。」
安い!
「それで大丈夫なんですか?アシ、出ません?」
驚いたけど、峠さんは自信があるらしい。
「調味料が揃うまでは赤字かもですが、まあ、大丈夫でしょう。」
てか、峠さんは鼻歌でも歌い出しそうなほど、楽しそうだった。
お料理、そんなにお好きなんだ。
専務、もとい、統(すばる)さん家(ち)に戻ると、すぐにお花さんに事のあらましを伝えた。
お花さんは、使ってない食器や食材……開封すらしてない到来品をいっぱい出してくれた。
「お。なんだなんだ。バサーでもあるのか?」
ラフな格好の統さんが、奥から飄々と出てきた。
「ううん。峠先生が、まかない作ってくれることになったから、何か協力できるかな、って。」
「まかない?いつから?……てか、美術館てキッチンあったか?」
「給湯室があるだけ。明日からだけど、まさか、食べに来ようとしてないわよね?」
思わず釘を刺した。
統さんは不満そうに肩をすくめ、それから隣室で読書していた聡くんに声をかけた。
「聡。峠先生がメシ作ってくれるらしいぞ。明日、行ってみたらどうだ?」
ちょっ!
「もう!聡くんをダシにして、統さんも来る気でしょ!」
そう怒ったら、申し訳なさそうに聡くんがこっちにやってきた。
「……でも、明日、行くことになってるんやけど。迷惑かな。」
「え?そうなの?やー、聡くんは大丈夫でしょ。統さんはダメ。部外者の自覚持ってね。」