専務と心中!
番手勝負
4月1日、社史編纂室は新しい部屋への引っ越しを終え、新たなスタートを切った。
碧生(あおい)くんはM(修士課程)2になり、引き続きうちに来てくれたが、D(博士課程)1だったバイトくんは急遽就職に成功して山陰へ行ってしまった。
本格的に編集作業に入るのに、碧生くん1人では負担が大き過ぎるということで、新しいバイトさんが来てくれることになった。
碧生くんの義理のお母さんのお兄さんの友達、なのだそうだ。
現れたのは、偏差値の高いお嬢さま学園のD3の美人さん!
「上垣遥香です。よろしくお願いします。」
明るいチャーミングな表情と、抜群のスタイルの素敵な女性だ。
朝礼にやってきた専務も、見とれた気がする。
「統(すばる)、ダメだよ。遥香は人妻だからね。旦那、こわ~いヒトだからね。」
碧生くんの権勢に、専務はムキになって反論した。
「碧生くん!心外だ!俺は一途な男だぞ。にほちゃんしか眼中にないから!にほちゃん!信じてくれるね?」
必死にそう言って、専務は私の手を両手でぎゅっと包み込んだ。
……はいはいはい。
信じるって言ったって、あいかわらずよくわからない。
この時期はただでさえ忙しいだろうに、社史編纂室を専務の肝いりにしてしまって、改装と引っ越しまでさせて………さすがにお気楽な専務も、私を誘い出す時間がないらしい。
その分の鬱憤が、人目をはばからぬ口説き文句とボティタッチになるせいで、私は社内でかなり浮いてしまってる気がする。
あからさまに悪く言うヒトもいる。
それに、同じフロアに椎木尾(しぎお)さんがいるのも、やっぱり気まずい。
なんだか、椎木尾さんがやつれてくように見えるのも心配。
……この状況、さすがに、きっついわ。
「専務とつきあわないんですか?」
ランチに連れ出したお店で注文を終えるなり、遥香さんが早速そう切り出した。
目がキラキラしてる。
恋バナが好きなのだろう。
碧生くんや私より実年齢は1つ上のはずなんだけど、遥香さんとはすぐ仲良くなれそうな気がする。
「さすが遥香。直球だねー。誘導にならないように、俺も遠慮してたのに。」
あっはっは!と明るく笑って、碧生くんがつっこんだ。
……専務のことをファーストネームで呼ぶ碧生くんは、遥香さんのことも呼び捨てなのね、やっぱり。
本当は会社だしよくないと思う。
思うんだけど……専務からして、何度注意しても私を「にほちゃん」と呼んでしまうことが多いから……だんだん諦めモードになってきたわ。
碧生(あおい)くんはM(修士課程)2になり、引き続きうちに来てくれたが、D(博士課程)1だったバイトくんは急遽就職に成功して山陰へ行ってしまった。
本格的に編集作業に入るのに、碧生くん1人では負担が大き過ぎるということで、新しいバイトさんが来てくれることになった。
碧生くんの義理のお母さんのお兄さんの友達、なのだそうだ。
現れたのは、偏差値の高いお嬢さま学園のD3の美人さん!
「上垣遥香です。よろしくお願いします。」
明るいチャーミングな表情と、抜群のスタイルの素敵な女性だ。
朝礼にやってきた専務も、見とれた気がする。
「統(すばる)、ダメだよ。遥香は人妻だからね。旦那、こわ~いヒトだからね。」
碧生くんの権勢に、専務はムキになって反論した。
「碧生くん!心外だ!俺は一途な男だぞ。にほちゃんしか眼中にないから!にほちゃん!信じてくれるね?」
必死にそう言って、専務は私の手を両手でぎゅっと包み込んだ。
……はいはいはい。
信じるって言ったって、あいかわらずよくわからない。
この時期はただでさえ忙しいだろうに、社史編纂室を専務の肝いりにしてしまって、改装と引っ越しまでさせて………さすがにお気楽な専務も、私を誘い出す時間がないらしい。
その分の鬱憤が、人目をはばからぬ口説き文句とボティタッチになるせいで、私は社内でかなり浮いてしまってる気がする。
あからさまに悪く言うヒトもいる。
それに、同じフロアに椎木尾(しぎお)さんがいるのも、やっぱり気まずい。
なんだか、椎木尾さんがやつれてくように見えるのも心配。
……この状況、さすがに、きっついわ。
「専務とつきあわないんですか?」
ランチに連れ出したお店で注文を終えるなり、遥香さんが早速そう切り出した。
目がキラキラしてる。
恋バナが好きなのだろう。
碧生くんや私より実年齢は1つ上のはずなんだけど、遥香さんとはすぐ仲良くなれそうな気がする。
「さすが遥香。直球だねー。誘導にならないように、俺も遠慮してたのに。」
あっはっは!と明るく笑って、碧生くんがつっこんだ。
……専務のことをファーストネームで呼ぶ碧生くんは、遥香さんのことも呼び捨てなのね、やっぱり。
本当は会社だしよくないと思う。
思うんだけど……専務からして、何度注意しても私を「にほちゃん」と呼んでしまうことが多いから……だんだん諦めモードになってきたわ。