唯一愛した君へ




『…うん、わかった……』



そういい、頷くと


柔い笑顔をして顔をくしゃっとさせた。






『優梨おらんと、起こしてくれる人いーひんくなって困るしなあ〜!』



冗談ぽくいうその言葉に、少しだけドキッとしてしまった。




『そんじゃ、またなあ〜優梨ッ☆』




手をひらひらと振って去っていく。



ドキッとさせ逃げだ……。




ほんのり照てった頬は、冷たくなった指先を暖める。






もうすぐ冬。
人肌が恋しい季節。

温かさが欲しくなる時期。






あたしも……冬は苦手だ。


何があったでもなく、無性に寂しくなってしまうから。





手袋は必需品だな……



はあ、と指先に息を吹き掛ける。











もうすぐ、鷹巳と別れて1年―――






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