唯一愛した君へ
『寒くないの?』
『めっちゃ寒いで〜』
左手なんかかじかんどるわー。
とぼやいている。
変わった人だなあ。
『それならもっと厚着で来ればいいのに』
そうあたしが呟くと目を細めて、にやっとに微笑む。
なんか企んだような笑み。
『そんなら優梨があっためてや〜。俺、今人肌恋しいねん〜』
そう言って両手を広げてくる。
絶対、からかってるな…。
おいで優梨〜♪と言ってくるシンにデコピンをして、『い・や!』と言った。
そうすると捨て猫のようにしゅんっとする。
そのしぐさにはぐっ…と来たけど、冷たくしておいた。
そしたらコロッと元に戻って、『なーんだつまらんなぁ』と言って、
いつの間にかあたしのカイロを奪っていて、すりすりしていた。