唯一愛した君へ
『…それは………』
声が―――震える。
『…今まで聞かん方がええかな、思ーとったんやけどな。ちょお気になってな。
せやけどやっぱええわ!困らせてごめんな?』
シンは真剣な顔からふざけた顔に変わった。
ほっ、と安堵する。
言えないよ。鷹巳なんて。
だって2人は敵対していたんでしょ?
なら、バレたらあたしもやばいかもね……。
それに、鷹巳に迷惑がかかるかもしれない。
それだけは――避けたい。
『…なんでそいつは……優梨がこんなに待ってるのに現れんのやろーな……?』
思わず俯いてしまう。
それはしょうがないよ。
だってあたし達は…別れたんだから。
『………来ないのは当然なの。もう、別れてるから……』
それなのにあたしが勝手に待っているだけ。