唯一愛した君へ



笑いながら、ふいに顔をあげた。



嘘―――…



あたしは噴水から離れて、スクランブル交差点の人込みへと駆け出した。






鷹巳…っ!


鷹巳…っ!!


鷹巳…っ!!!



必死にスクランブル交差点の真ん中から、左右を向いて探し回る。



鷹巳!!
鷹巳っ!!



交差点をあっちこち見回す。
キョロキョロと何回も。



鷹巳………!!



さっき想像したのと同じ…
黒いジャンパーを着た
冬にしては少し薄着な人が居たんだ。


…多分それは鷹巳なんだ。


だって!!
本当に想像通りの格好をしていて……


鷹巳…………!!



あたしはあちこちを何回も何回も見回す。
人の波に流されそうになりながら、一生懸命探す。







これを逃したら…


もう一生会えない気がした………。






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