唯一愛した君へ
『あたしも呼び捨てでいいよ……大丈夫』
シンとの約束、忘れそうになった。
ダメ……もう一回ここから歩き出すの。
『そう?俺ついてようか?それとも先行って平気?』
『…大丈夫っ!先行って!』
裕也の優しい申し出を笑って断った。
大丈夫……あたしにはこれがあるから。
小指についた光るものに、左手を触れた。
昨日、裕也が帰った後、シンがくれた…。
シンいわく“男除け”らしい。
そのときは思わず笑っちゃったけど、なんて心強いんだろう。
あたし頑張れるよ。
学校に向かってまた歩き出した。
何ヶ月ぶりかの教室。
その入口の前に立ったら、またドキドキしてきた。
――ガラッ
あたしは、一からスタートする……。
あなたを、心の底にしまって。