唯一愛した君へ
懐かしい空間。
あたしの場所。
大好きだ…と思った。
学校に来てよかった、
本当にそう思って、
心の中でシンに感謝した。
美桜なんか暑苦しいぐらい、ぎゅうぎゅう抱き着いてきて、
別の意味であたしは、一時間目が始まる前までに疲れてた。
『何してたの?』
やっぱりその質問をされた。でも困り果てるあたし。
そしたら、由美子が――。
『優梨は放浪癖があるのよ』
と、冗談を言ってみんなを笑わせてくれた。
ニコッと目を合わせる。
――ありがとう――
…由美子にまた話さなきゃいけないね。シンのこと。
でも今度は、不思議と不安じゃない。
それはきっと…今が幸せだと、胸を張って言えるからだと思う。
『…そうだ!
あたし…留年しちゃった…?』