唯一愛した君へ

『優梨っ』



あたしが帰り支度をしていると、裕也が教室の入り口で立っていた。


偶然か、ちょうどというべきなのか、みんなは掃除や用事、まだ来てなかったりで居ない。



ふっと振り返ったあたしは、首を傾げていると、手招きした。



帰り支度を一時中断し、裕也のところへ行く。


『どうしたの？』


こうしてちゃんと並んでみると、裕也はなかなか背が高いことに気付いた。



『途中まで一緒に帰ろう？』


途中までとは、きっとシンが迎えに来てくれるところまでのことだと思う。



キョトンとした顔をしていたあたしに、


『優梨と話、したいなと思って』


柔い裕也の笑顔は、美形さを引き立てる。



いつのまにか、あたしは頷いていた。