唯一愛した君へ



由美子達に先に帰るとメェルを送って、今2人で並んで歩いてる。


……視線を少し感じる。


今、気が付いた。
あたしは一応“問題児”なのだ。

そんなあたしと歩いてて…
裕也は平気なんだろうか?



だけど、裕也の顔を盗み見てみると別に普通の顔をしていた。



話したい、と言って来たのに話しだす様子もないし、
逆にあたしの方がそわそわしてしまう。




『…慎斗さんとはどこで知り合ったの?』


『ふへっ!?』



さっきまで何の気配もなかった裕也が話し掛けてきたので、
驚いて素っ頓狂な声が出てしまった。



『あっ…えっと……』


しかもなんか唐突で意外だったから、吃ってしまう。

だけどよく考えて見ればわかることだ。

裕也が“話したいこと”なんて“シンのこと”に決まってるじゃないか。



『…あのさ、大きな噴水があるところ知ってる?結構有名だと思うんだけど…』


裕也は少し考える仕草をしてから、『あぁ…』と唸った。




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