唯一愛した君へ
『…そっか』
穏やかな安心したような顔を、あたしに向けて。
目を優しく細めた。
彼は少し謎めいている。
きっと彼にも、何かあるんだろう。
だけど、今笑ってるんだ。
『優ー梨!』
…この人のおかげで。
この声が更に愛おしく聞こえた。
『シンっ!』
あたしは笑顔で駆け寄って、抱き着いた。
『うわっ、迎えに来たでっ!』
ちゃんと受け止めてくれて、笑顔でよしよしと頭を撫でてくれる。
『なんかあったんか?』
少し心配そうに、あたしの顔を覗き込む。
首をううんと横に振った。
『シン大好きぃっ!』
シンの胸板に顔を埋めて、ぎゅっと服を握りしめる。
『そんなん知ってるわ』
顔をあげると、今度は笑顔でわしわしと頭を撫でてくれた。
どうか、この幸せが続きますように…
あたしは、ひそかに胸の中で祈った。