唯一愛した君へ
由美子はなんでもないといいながら、少し戸惑っている様子。
無理もない……
唯一、あいつとあたしの事を知っているから。
『ねぇねぇ〜!なんて名前なのぉ〜??』
ぴょんぴょん跳ねるように聞いてくる美桜。
好奇心旺盛な小さな子供みたいだ。
『…名前は――…』
由美子の方をチラッと見てから、あたしは躊躇しながら、
『…シンだよ』と言った。
『シンかあ!なんかカッコイイね!ねぇそのシンさんって、優梨より年上だよねっ?』
うん、笑顔で頷いて――あたしは微かにある心の中の罪悪感を振り払う。
美桜がきゃー♪とキャピキャピ一人で騒いでる隙に、由美子に近付いて小さな声で呟いた。
『今日放課後残れるかな?話さなきゃいけないことがあるんだ…』
あたしがそう言うと、由美子は納得したように頷いた。