唯一愛した君へ
『…優梨。今、幸せ…?』
沈黙していた空気の中、
由美子は唐突に聞いて来た。
『え?』
あまりにもいきなりだったので、あたしは聞き返した。
『………今、幸せ?』
この言葉の意味を、もし知っていたなら…
この時、あたしはどうしていたんだろう?
『………うん、幸せ』
涙で濡れた顔を笑顔にして返した。
『…それならいいや』
由美子は力無く、でも何かを決心したように笑った。
『幸せになんなね……』
切ないくらいの、声だった。
シンの手を、離さないと誓った。
その瞬間…少しだけ、
あいつの……大好きだったフッって笑いながらタバコを吸う姿が、
頭に浮かんで消えた――…。